自宅の無線ルーターの2.4GHzと5GHzの違いと使い分け方

- 記事の内容
- 自宅の無線ルーターの「2.4GHz」と「5GHz」の特徴を比較して違いを紹介
自宅の無線ルーターの2.4GHzと5GHzの違いと使い分け方

自宅の無線ルーターには、多くの場合、初期にSSIDが2つあります。各々が使用している電波の周波数帯が違います。一方は2.4GHz帯、他方は5GHz帯を使用しています。
電波の周波数帯の違いにより、電波特性による通信への影響度合い(距離等)、法令による使用制約、通信速度等が異なります。
①.電波特性による通信への影響度合いの違い
電波干渉の有無、電波が Wi-Fi子機(スマホ等)に届くまでの障害物の有無、Wi-Fi子機(スマホ等)までの距離の遠さにより通信品質に影響します。
①-1.電波干渉
周辺に複数の電波があると、お互いに干渉し合って、電波の強さが不安定になる場合があります。
周波数帯 | 発生しやすさ |
---|---|
2.4GHz帯 | 電波干渉が発生しやすい(注1)(注2) |
5GHz帯 | 2.4GHz帯より電波干渉は発生しにくい |
- 注1
- 各通信チャンネルで、電波の周波数帯の一部分が重複するため、各々の電波が異なるチャンネルを使用しても干渉する場合があります。
- 通信チャンネル間で発生する電波干渉の可能性を完全に排除するには、各々を5チャンネル以上離して使用します。
- 注2
- Wi-Fi以外にも、多くの機器(電子レンジ、テレビ、ラジオ、アマチュア無線、コードレス電話、Bluetooth等)で使用するため、これらの機器を使用すると電波が干渉する可能性があります。
①-2.障害物の有無
電波がWi-Fi子機(スマホ等)に届く途中に、障害物(壁やドア)があると、電波が弱まる場合があります。
周波数帯 | 影響の度合い |
---|---|
2.4GHz帯 | 障害物の影響を受けにくく、電波の弱まりが少ない |
5GHz帯 | 障害物の影響を受け やすく、電波の弱まりが大きい |
①-3.距離
電波がWi-Fi子機(スマホ等)に届くまでの距離による、電波の強さが弱まる度合いが異なります。
周波数帯 | 弱まる度合い |
---|---|
2.4GHz帯 | Wi-Fi親機等から離れても、5GHz帯より弱くなりにくい |
5GHz帯 | Wi-Fi親機等から離れると、電波が弱くなりやすい |
②.法令による使用制約の違い
法令により電波の使用に際しての制約が定められています。
周波数帯 | 使用制約 |
---|---|
2.4GHz帯 | 屋内外で利用できる |
5GHz帯 | 電波法による制約がある(注3)(注4)(注5) |
- 注3
- 電波法により屋外での使用が禁止されているチャンネルがあります。
- 対象は、W52(36,40,44,48ch)およびW53(52,56,60,64ch)です。
- 注4
- 以下のチャンネルは、レーダー波を検出すると、自動でチャンネルが強制的に変更され、切り替え完了まで、一時的に通信が中断されることがあります。(DFS機能)
- 対象は、W53およびW56(100,104,108,112,116,120,124,128,132,136,140ch)です。
- 注5
- W53およびW56のチャンネルを使用開始時は、周辺のレーダー波の存在確認のため、通信可能になるまでに、最低1分程度掛かる場合があります。
③.最高通信速度(理論値)の違い
Wi-Fiの通信規格が異なるため、最高通信速度(理論値)が異なります。
- 2.4GHz帯
Wi-Fiの通信規格 | 最高通信速度(理論値) |
---|---|
IEEE802.11n(2.4GHz帯) | 600Mbps |
IEEE802.11g | 54Mbps |
IEEE802.11b | 11Mbps |
- 5GHz帯
Wi-Fiの通信規格 | 最高通信速度(理論値) |
---|---|
IEEE802.11ac | 6.9GMbps |
IEEE802.11n(5GHz帯) | 600Mbps |
IEEE802.11a | 54Mbps |
④.その他
周波数帯に関する一般的な特徴として、他にも以下の傾向があります。
周波数帯 | その他の特徴 |
---|---|
2.4GHz帯 | チャンネルが混雑しやすい(注6) |
5GHz帯 | 対応していないWi-Fi子機(スマホ等)製品がある |
- 注6
- 2.4GHz帯に対応しているWi-Fi機器は種類が多い(プリンター、ゲーム機等)ため、近所で多く使用している可能性があります。
(参考)2つのSSID(2.4GHzと5GHz)の使い分け方
2つのSSIDの内、どっちを使ったら良いのか迷うかもしれませんが、どっちの周波数帯にも一長一短があるため、Wi-Fi親機や中継器等の設置場所を調節しながら実際に使ってみて、快適な方を使用します。
- 評価
項目 | 2.4GHz帯 | 5GHz帯 |
---|---|---|
電波干渉 | △ | 〇 |
障害物による影響 | 〇 | △ |
距離による影響 | 〇 | △ |
法令による制約 | 〇 | △ |
最高通信速度(理論値) | 〇 | ◎ |
その他 | △ | △ |
- 評価は、主観による比較結果を、目安として示してあります。
- 使用環境により評価が異なる可能性があります。
例.具体的な使い分け手順
- 最初は、5GHz帯を使用します。
- 2.4GHzよりも、最高通信速度(理論値)が速く、また電波干渉も発生しにくいため、快適に通信できる可能性があります。
- もし、5GHz帯の通信品質に不満を感じたら、または5GHz帯を使用できない場合は、2.4GHz帯を使用します。
- 障害物による影響、Wi-Fi親機や中継器等からの距離による影響がある場合、2.4GHz帯の使用により影響を軽減できる場合もあります。
- 5GHz帯は、法令による制約を受けたり、保有しているWi-Fi子機(スマホ等)が未対応の場合があります。
- どちらの周波数帯を使用しても、通信品質に不満を感じる可能性もあります。もし、障害物による影響、またはWi-Fi親機や中継器等からの距離による影響が考えられる場合は、Wi-Fi親機や中継器の設置場所を調整したり、あるいは、中継器の追加設置も検討します。家の中の部屋の状況によっては、影響が軽減する場合があります。
- 両方の周波数帯に対応のWi-Fi子機(スマホ等)は、条件の良い周波数帯に、自動で切り替わる機能がある場合があります。
- Wi-Fi親機や中継器等は、両方の周波数帯を、同時に使用できる状態にしておきます。
- 記載の内容は一般的な情報です。実際のWi-Fiのご利用に際しては、ご利用の環境の状況により影響の度合いが異なる場合があります。