2.4GHzと5GHzの速度差【どっちが速いのかを明確にする】
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2.4GHzと5GHzはどっちの方が速くて、どれだけの速度差があるのかを紹介
2.4GHzと5GHzの速度差【どっちが速いのかを明確にする】
平均的な性能の親機と子機を繋いだ時:0~約24倍ほど5GHzが速い
市販(2023年時点)されている平均的な性能の親機(Wi-Fiルーター等)と子機(スマホ等)を繋いだ場合、2.4GHzと5GHzの各々の理論上の速度差は、0~約24倍ほど5GHzが速いです。
なお、実際の通信においては、速度差の程度は大きい方に偏る確率が高いです。2.4GHzの方が、様々な要因が影響して遅くなる傾向が強いためです。
- 最高速度は理論上の値です。
通信規格における最高速度(注1) | 2.4GHzと5GHzの速度差(市販製品) | 市販製品の最高速度(注2) |
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【IEEE802.11n(Wi-Fi 4)】 約600Mbps | 【速度差】なし ※同じ速さ | 【2.4GHz】 約70Mbps ~ 約300Mbps 【5GHz】 約70Mbps ~ 約300Mbps |
【IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)】 約6,900Mbps | 【速度差】約1.4 ~ 約24倍(注3) ※5GHzの方が速い | 【5GHz】 約430Mbps ~ 約1,700Mbps |
【IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)】 約9,600Mbps | 【速度差】約2.1 ~ 約17倍程度 ※5GHzの方が速い | 【2.4GHz】 約140Mbps ~ 約570Mbps 【5GHz】 約1,200Mbps ~ 約2,400Mbps |
- 通信速度は、親機と子機の両方の性能に依存します。
例えば、通信規格として親機にIEEE802.11ax(Wi-Fi 6)が備わっても、子機に備わらなければ使用できません。逆の仕様の場合も同様です。もし、一方に備わらなければ、両方共に備わる通信規格を使用します。
(注1)通信規格に付随する指数(帯域幅、MCS値、GI値等)の全てが、最速値の場合を前提にしています。帯域幅は、チャンネル幅、チャネルボンディング等とも呼ばれる場合があります。MCS値は、空間ストリーム、変調方式、コーディング等により決まる指数です。
(注2)性能に幅を持たせたため、最高速度にも幅があります。2023年時点において販売されている製品(Wi-Fiルーターとスマホ)を基にして、平均的な性能を定義して前提条件にしました(下の表)。
- 『平均的』と定義した性能
帯域幅 | 空間ストリーム | MCS値とGI値 |
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【2.4GHz】 20MHzまたは40MHz 【5GHz】 ・IEEE802.11n(Wi-Fi 4):20MHzまたは40MHz ・IEEE802.11ac(Wi-Fi 5):80MHzまたは160MHz ・IEEE802.11ax(Wi-Fi 6):80MHzまたは160MHz | 【Wi-Fiルーター】 4 【スマホ】 1または2 | 空間ストリーム値における規格上の最速の値 |
- もし、Wi-Fiルーターまたはスマホのどちらかの性能が劣る場合には、劣る側に合わせて通信が行われます。
(注3)IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)は2.4GHzを利用できません。そのため、速度差はIEEE802.11n(Wi-Fi 4)の2.4GHzの最高速度と比較した値です。
iPhone11を平均的な親機に繋いだ時:約2~約6倍ほど5GHzが速い
iPhone11を既述の平均的と定義した性能のWiFiルーターに繋いだ場合、2.4GHzと5GHzの各々の理論上の速度差は、約2~約6倍ほど5GHzが速いです。
通信規格 | 2.4GHzと5GHzの速度差 | 最高速度(注1) |
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IEEE802.11n(Wi-Fi 4) | 【速度差】2倍程度 ※5GHzの方が速い | 【2.4GHz】 144Mbps 【5GHz】 300Mbps |
IEEE802.11ac(Wi-Fi 5) | 【速度差】6倍程度(注2) ※5GHzの方が速い | 【5GHz】 866Mbps |
IEEE802.11ax(Wi-Fi 6) | 【速度差】6倍程度 ※5GHzの方が速い | 【2.4GHz】 195Mbps 【5GHz】 1,200Mbps(注3) |
(注1)最高速度は理論上の値です。なお、空間ストリーム値は、iPhone11は「2」のため、実際の通信おいてiPhone11の性能が上限になります。
(注2)速度差はIEEE802.11n(Wi-Fi 4)の2.4GHzの最高速度と比較した値です。
(注3)回線側の通信速度にも留意が必要です。インターネットに接続する時は、回線の通信速度にも依存するためです。もし、Wi-Fiが1,200Mbps=1.2Gbpsだとしても、回線の方がWi-Fiよりも低速(1Gbpsのサービスを利用等)の場合、回線の通信速度が上限になります。
Androidスマホを平均的な親機に繋いだ時:速度差は不明【実測必要】
Androidスマホは、Wi-Fiの仕様に関する情報が少ない場合があるため、2.4GHzと5GHzの速度差を明確にするのは困難な場合が多いです。
ただし、スマホの設定画面によりSSID毎に周波数帯と実際の通信速度を確認できるため、2.4GHzと5GHzの速度差を比較できます。
- 「設定」アプリをタップ
- [ネットワークとインターネット]をタップ
- [Wi-Fi]をタップ
- 接続中のSSIDをタップ
- 「周波数」と「送信リンク速度」を確認
なお、詳細に前提を設ければ、2.4GHzと5GHzの速度差を推測できます。例えば、Google Pixel 6aの場合は、以下の通りです。
- 前提として、既述の平均的と定義した性能のWiFiルーターに繋いで、さらにMCS値やGI値も最速値と仮定します。
通信規格 | 2.4GHzと5GHzの速度差(推測) | 最高速度(注1) |
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IEEE802.11n(Wi-Fi 4) | 【速度差】なし ※同じ速さ | 【2.4GHz】 約144Mbps ~ 約300Mbps 【5GHz】 約144Mbps ~ 約300Mbps |
IEEE802.11ac(Wi-Fi 5) | 【速度差】約2 ~ 約11倍程度 ※5GHzの方が速い | 【5GHz】 約860Mbps ~ 約1,700Mbps |
IEEE802.11ax(Wi-Fi 6) | 【速度差】約8 ~ 約17倍程度 ※5GHzの方が速い | 【2.4GHz】 約140Mbps ~ 約280Mbps 【5GHz】 約2,400Mbps |
(注1)最高速度は理論上の値です。なお、一部は、前提を基にした推測値です。
なお、Google Pixel 6aのWi-Fiの仕様は、IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)を通信規格に備えて、最大の帯域幅が160MHz、空間ストリーム値が「2」です。親機も同等以上の性能を備えていると仮定すれば、最高速度は、IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)を使用時に、5GHzは2,400Mbpsとわかります。しかし、2.4GHzにおいて帯域幅が160MHzになるとは考えにくいため、2.4GHzの最高速度は不明です。また、5GHzであってもIEEE802.11ac(Wi-Fi 5)を使用時にも、帯域幅が160MHzであるかは不明です。また、帯域幅の上限が40MHzであるIEEE802.11n(Wi-Fi 4)においては、両方の周波数帯とも最高速度は不明です。